カメラのAF性能を動体撮影で比較するなら、AFの速さだけでなく、被写体を見つけ続ける力、ピントを合わせ続ける力、撮影後の合焦率を確認します。特に、同じ被写体・同じレンズ・同じ設定で撮影し、ピントが合った写真の割合や外れ方を比べることが重要です。
動体撮影で確認したいAF性能の項目
動く被写体を撮る場合は、次の項目を同じ条件で比較すると、カメラごとの違いを判断しやすくなります。
| 確認項目 | 見るポイント | 向いている撮影例 |
|---|---|---|
| 被写体の検出 | 被写体をすぐ見つけられるか、背景に引っ張られないか | 人物、動物、乗り物 |
| 追従性能 | 移動中の被写体を追い続けられるか | 走る人物、スポーツ、飛ぶ鳥 |
| 合焦率 | 連続撮影した写真のうち、使えるピントの写真が何枚あるか | すべての動体撮影 |
| 初動の速さ | 被写体にAFを合わせ始めてからピントが合うまでの時間 | 急に現れる被写体 |
| 背景への抜けにくさ | 被写体が小さい、背景が複雑な状況で追従できるか | 森を飛ぶ鳥、観客席のある競技 |
| 低照度でのAF | 暗い場所でも迷いにくいか、合焦までの時間が変わるか | 屋内競技、夕方の撮影 |
| 連写中の表示 | ファインダーやモニターが途切れにくく、被写体を追いやすいか | スポーツ、乗り物 |
最も重視すべきなのは「合焦率」と「追従の安定性」
動体撮影では、AFが一瞬で合うことよりも、被写体が動いている間にピントを維持できることが重要です。1枚目だけピントが合っていても、連写の途中で背景へピントが移ったり、後ろにずれたりするなら、実際の撮影では使える写真が減ります。
そのため、比較では連写した写真をすべて確認し、次のように分類します。
- 被写体の狙った部分にピントが合っている
- 被写体には合っているが、狙った部分から少し外れている
- 背景や別の物にピントが移っている
- 全体がぼけていて、AFが追いついていない
「何枚中何枚が使えるか」を比べれば、カタログに書かれたAF速度だけでは分からない実用性能を確認できます。
被写体検出が正しく働くか確認する
人物や動物などを撮る場合は、被写体検出や瞳・顔検出が、実際の撮影環境で使えるかを見ます。検出表示が出るかだけでなく、動いている被写体の狙った部分にピントを合わせ続けるかを確認してください。
例えば人物撮影では、顔を検出していても、手前の手や衣服にピントが移ることがあります。動物では、頭部を認識しても、枝や草が手前に入ったときに追従が外れる場合があります。
確認するときは、次のような条件を試します。
- 被写体がカメラに近づく
- 被写体がカメラから遠ざかる
- 被写体が画面の端へ移動する
- 一時的に別の物で隠れる
- 背景に同じ色や形の物がある
- 被写体が小さく写る距離から撮影する
検出機能は被写体の種類や撮影モードによって動作が変わるため、同じ被写体設定とAFエリア設定で比較する必要があります。
AF-Cで被写体を追い続けられるか試す
動体撮影の比較では、ピントを連続して合わせるAF-C、メーカーによってはサーボAFなどと呼ばれるモードを使います。AF-Sなどの1回だけピントを合わせるモードでは、動いている被写体への追従性能を比較できません。
被写体が近づく場合と横方向へ動く場合では、AFに求められる性能が異なります。少なくとも次の2パターンを試すと、結果を判断しやすくなります。
被写体が近づく・遠ざかる場合
被写体との距離が大きく変わるため、ピント位置を連続して更新する能力を確認できます。走ってくる人物や自転車などを一定の位置から撮影し、連写中にピントが前後へ外れないかを見ます。
被写体が横へ移動する場合
被写体との距離が比較的変わらないため、画面内で被写体を追い続ける能力を確認できます。画面の端へ移動したときや、背景に別の物があるときも追従が続くかを確認してください。
AFエリアの広さと追従設定もそろえる
カメラ本体だけでなく、AFエリアの設定によっても結果は変わります。比較するカメラで、できるだけ近いAFエリアを選び、被写体を追う範囲をそろえます。
確認したい代表的な設定は次のとおりです。
- AF-Cなどの連続AF
- 被写体検出の対象
- AFエリアの種類と大きさ
- 追従感度や被写体の動きへの反応設定
- 連写速度
- シャッター速度
- 手ブレ補正の設定
特定のカメラだけ有利な設定にすると、公平な比較になりません。一方で、各カメラの標準設定と推奨設定で結果が変わることもあるため、比較条件を記録したうえで、設定を変えた結果も分けて確認するとよいでしょう。
連写速度ではなく、撮影後の写真を確認する
連写速度が速くても、ピントが合っていない写真が多ければ、動体撮影で有利とは限りません。連写速度は、AF性能とは別に確認する必要があります。
例えば、同じ時間に撮影できる枚数が多いカメラでも、合焦率が低ければ、使える写真の枚数は増えないことがあります。比較時は、次の数値を分けて記録します。
- 1回の連写で撮影できた総枚数
- ピントが合っていた枚数
- 狙った部分にピントが合っていた枚数
- 使える写真の割合
合焦率は、次の式で計算できます。
合焦率=ピントが合っていた枚数÷連写した総枚数×100
例えば、仮に50枚撮影して40枚が狙った部分に合っていた場合、合焦率は「40÷50×100=80%」です。これは説明用の計算例であり、特定のカメラの実測結果ではありません。
レンズを変えずに比較する
AF性能の比較では、カメラ本体だけでなくレンズのAF性能も結果に影響します。異なるレンズを使うと、カメラの差ではなくレンズの駆動速度や焦点距離の違いを比べることになります。
可能であれば、同じレンズを使い、同じ焦点距離・絞り値・シャッター速度で撮影します。同じレンズが使えない場合は、焦点距離やレンズの種類をそろえ、結果を「カメラ本体だけの差」と断定しないようにします。
また、望遠レンズでは、被写体の動きが大きく見えるため、広角レンズよりも追従の難度が上がります。撮影対象に合わせたレンズで試すことが大切です。
明るい場所と暗い場所の両方で確認する
明るい屋外で問題なく動作しても、屋内や夕方ではAFの迷い方が変わることがあります。動体撮影をする場所が決まっているなら、その場所に近い明るさで比較してください。
確認する条件の例は、次のとおりです。
- 晴れた屋外
- 曇天や日陰
- 屋内の人工照明
- 夕方など光量が少ない時間帯
- 背景だけが明るい逆光
暗い場所では、AFが合うまでの時間、合焦後の安定性、連写中にピントが外れる頻度を確認します。ただし、シャッター速度が遅いと被写体ブレが起きるため、AFの失敗と被写体ブレを分けて判定してください。
ファインダー表示とブラックアウトも比較する
連写中にファインダーの表示が大きく途切れると、AFが動作していても被写体を追いにくくなります。動体撮影では、ピントの性能だけでなく、撮影中に被写体を見失わないかも確認します。
比較するときは、次の点を見ます。
- 連写中も被写体の位置を確認できるか
- 表示の遅れが大きくないか
- 撮影後の画像表示が追従を邪魔しないか
- 連写速度を変えたときに表示が変わるか
この部分はAFの合焦率だけでは判断できません。実際にファインダーを見ながら被写体を追い、撮影のしやすさとして評価します。
動体撮影のAF性能を公平に比較する手順
比較条件を固定して、複数回の連写結果を確認します。1回だけの撮影では、被写体の動きやタイミングによる差を判断しにくいためです。
- 同じレンズ、または仕様が近いレンズを用意する。
- AF-Cなどの連続AFに設定する。
- 被写体検出の対象、AFエリア、連写速度をそろえる。
- シャッター速度、絞り値、ISO感度などの撮影条件をそろえる。
- 被写体が近づく、横切る、背景に隠れるなど、同じ動きを撮影する。
- 明るい場所と暗い場所で、それぞれ複数回の連写を行う。
- 撮影枚数、ピントが合った枚数、ピントが外れた場面を記録する。
- ファインダー表示の見やすさと、被写体を追いやすいかも確認する。
撮影後は、画像を同じ倍率で確認します。サムネイルだけでは微妙なピントのずれを見落とすため、顔や目、被写体の先端など、狙った部分を拡大して判定します。
比較結果を判断するときの注意点
AF性能の優劣は、被写体の種類、動く速さ、背景、明るさ、レンズ、撮影者の追い方によって変わります。人物では良い結果でも、鳥や乗り物では同じ結果になるとは限りません。
また、ピントが外れた写真があっても、原因がAFとは限りません。次のような要因も確認してください。
- シャッター速度が遅く、被写体が動いている
- 撮影者が被写体を追い切れていない
- 被写体がAFエリアから外れている
- レンズの焦点距離や駆動性能が異なる
- 被写体検出の対象設定が適していない
- 連写中の画像表示が見づらく、構図がずれている
そのため、「AFが速い」という印象だけで決めず、どの条件で、どのような外れ方をしたかまで確認するのが適切です。
動体撮影用に比較するなら、合焦率と撮影条件を記録する
カメラのAF性能を動体撮影で比較する場合は、AF-Cでの追従、被写体検出、背景への抜けにくさ、連写中の表示、撮影後の合焦率を確認します。
最初に行うことは、比較する被写体と撮影条件を決め、同じレンズ・同じ設定で複数回の連写を行うことです。合焦率だけでなく、被写体を追いやすいか、どの場面でピントが外れたかも記録すると、自分の撮影目的に合うカメラを判断しやすくなります。







