カメラの電子シャッターの主なデメリットは、動く被写体がゆがむ「ローリングシャッター現象」や、照明の点滅による縞(しま)・明るさのムラが起きやすいことです。フラッシュ撮影に制限がある機種もあります。
一方で、電子シャッターの弱点はカメラの読み出し速度や撮影モードによって変わります。静止した被写体では問題になりにくく、動体撮影や人工照明の下では注意が必要です。
電子シャッターの主なデメリット
動く被写体やカメラがゆがんで写る
電子シャッターでは、撮像素子の画面全体を一度に記録せず、上から下へ順番に読み出す方式が一般的です。この読み出し中に被写体やカメラが動くと、位置の違いが同じ写真に記録されます。
この現象は「ローリングシャッター現象」と呼ばれ、次のような写り方になることがあります。
- 走っている人の体や手足が傾いて見える
- 回転する車輪やプロペラの形がゆがむ
- パン撮影で建物の柱が斜めになる
- ゴルフクラブやバットなど、速く動く物体が曲がって見える
同じ電子シャッターでも、撮像素子の読み出しが速いカメラほど影響は小さくなります。ただし、機種ごとの性能差があるため、「電子シャッターなら必ず大きくゆがむ」とは限りません。
人工照明で縞や明るさのムラが出る
LED照明や蛍光灯など、短い周期で点滅している照明の下では、電子シャッターの読み出しタイミングと照明の点滅が合わないことがあります。その結果、写真に横縞が入ったり、画面の上部と下部で明るさや色が違ったりします。
体育館、店舗、舞台、工場などで撮影するときは特に注意が必要です。肉眼では照明が安定して見えても、写真ではムラが出る場合があります。
フラッシュ撮影に制限がある
電子シャッターでは、撮像素子を読み出している間に発光すると、画面の一部だけが明るくなるなど、正常に写らないことがあります。そのため、電子シャッター使用時はフラッシュが発光しない、またはシャッター速度に制限が設けられているカメラがあります。
ただし、対応するフラッシュや高速な読み出し方式を備えた機種では、電子シャッターでもフラッシュ撮影が可能な場合があります。使用するカメラの説明書で、電子シャッター時の発光可否と同調速度を確認してください。
シャッター音で撮影の完了を判断しにくい
電子シャッターは、機械式シャッターの作動音を使わずに撮影できます。そのため、静かな場所で撮影できる反面、撮影できたタイミングが音で分かりにくいことがあります。
また、電子音を消していると、連写中に撮影枚数や撮影終了のタイミングを把握しづらい場合があります。必要に応じて、電子音や操作音を設定してください。
撮影後に問題へ気づくことがある
電子シャッターのローリングシャッター現象や照明の縞は、撮影中に気づきにくいことがあります。撮影後に拡大して初めて、被写体のゆがみや画面のムラが分かるケースもあります。
動体や舞台を撮影したときは、撮影後に次の部分を確認すると失敗を見つけやすくなります。
- 人物の手足や顔の形
- 車輪、プロペラ、ゴルフクラブなどの形
- 建物の柱や水平・垂直の線
- 写真全体の明るさと横縞
電子シャッターと機械式シャッターの違い
電子シャッターは撮像素子を電子的に読み出して露光を行い、機械式シャッターはシャッター幕などの機械部品を動かして露光します。違いを簡単に比べると、次のようになります。
| 項目 | 電子シャッター | 機械式シャッター |
|---|---|---|
| 作動音 | 小さくできる。無音撮影に対応する機種もある | 機械音が出る |
| 機械部品の作動 | 少ない、または作動しない | シャッター幕などが作動する |
| 動体のゆがみ | 機種によっては起きやすい | 電子シャッターより抑えやすい |
| 人工照明の縞 | 条件によって出やすい | 出ることはあるが、電子シャッターとは発生条件が異なる |
| フラッシュ | 使用できる範囲に制限がある場合がある | 機種の同調速度内で使うのが基本 |
機械式シャッターならすべての問題を防げるわけではありません。機械式でも、照明の点滅や速い動きによる写り方の問題が起きる場合があります。電子シャッターに特有の制限と、撮影条件に共通する問題を分けて考えることが大切です。
電子シャッターを避けたほうがよい撮影場面
次のような条件では、まず機械式シャッターを選ぶと判断しやすくなります。
- 走る人や乗り物など、速く動く被写体を撮る
- 回転するプロペラ、車輪、スポーツ用品を自然な形で写したい
- 体育館や舞台など、人工照明の下で撮影する
- フラッシュを使う
- 建物や商品など、直線の形を正確に残したい
ただし、機械式シャッターに切り替えれば必ず解決するとは限りません。照明の種類、シャッター速度、被写体の動き、カメラの機種によって結果が変わるため、重要な撮影では事前に試し撮りをしてください。
電子シャッターを使いやすい場面
電子シャッターは、動きが少なく、静かに撮りたい場面では便利です。たとえば、次のような撮影ではデメリットが目立ちにくくなります。
- 風景や建物など、被写体がほとんど動かない撮影
- 三脚を使った商品や料理の撮影
- 美術館や式典など、撮影音を抑えたい場面
- シャッター音を出したくない動物や子どもの撮影
ただし、風で木の葉が動く、人物がわずかに動くなど、被写体が完全に静止していない場合は影響が出る可能性があります。
電子先幕シャッターやサイレント撮影との違い
電子先幕シャッター
電子先幕シャッターは、露光の開始を電子的に行い、露光の終了を機械式シャッターで行う方式です。機械式シャッターより振動や作動音を抑えやすい一方、電子シャッターとは仕組みが異なります。
機種によっては、高速シャッターや大口径レンズの撮影で、ぼけの形や露光に影響が出ることがあります。電子先幕シャッターを使う場合も、説明書にある使用条件を確認してください。
サイレント撮影
「サイレント撮影」は、電子シャッターを使って撮影音を抑える機能の名称として使われることが多い言葉です。サイレント撮影中は、電子シャッターのローリングシャッター現象や人工照明の縞が起きやすくなることがあります。
無音であることだけを基準にせず、動体の有無、照明、フラッシュの使用予定を確認して選びましょう。
電子シャッターを使うか迷ったときの判断方法
迷ったときは、被写体の動きと照明を基準に切り替えると判断しやすくなります。
- 被写体やカメラを動かす撮影か確認する。
- LED照明や蛍光灯など、人工照明の下か確認する。
- フラッシュを使うか確認する。
- 該当する場合は、まず機械式シャッターで試す。
- 電子シャッターを使う場合は、試し撮りを拡大してゆがみや縞を確認する。
静かな撮影を優先し、被写体の動きが少ないなら電子シャッターが向いています。動体の形、人工照明、フラッシュを優先するなら、機械式シャッターを選ぶほうが失敗を抑えやすいでしょう。
カメラの電子シャッターは、静音性や振動の少なさが利点ですが、動体のゆがみ、人工照明の縞、フラッシュの制限が主なデメリットです。最初に撮影条件を確認し、動く被写体や照明のある場所では試し撮りをしてから使うと安心です。







